交通事故
一般的説明
事故に遭ったら、どうするか?
- まずは落ち着いて対応しましょう。相手の過失が大きいと感じられても、感情的にならないようにしましょう。
- 警察に届け出る。交通事故証明書の交付を後日受けましょう。
- 相手を十分確認する。加害車両の登録番号(ナンバー)、加害者の住所・氏名・連絡先、勤務先、加害者加入の自賠責保険の会社名と自賠責保険の証明書番号を控えます。特に加害者の住所・氏名は運転免許証で確認しましょう。
- 目撃証人を確保する。目撃証人がいたら、その証言をメモして、その住所・氏名を聞き、後日必要であれば証人になってくれるように頼んでおきましょう。
- 自分でも事故現場を記録しておくこと。できれば、事故直後、記憶が鮮明なうちに、現場の見取図や事故の経過をメモし、あるいは写真を撮りましょう。写真には、衝突した位置やブレーキ痕、その他ガラス片の飛び散った範囲など、多角的に、撮影すべきです。
- 医師の診断を受けること。大したことはないと思っていても、後で意外に大きな怪我であると判明することもありますので、少しでも異変があるようなら,医師の診断を受けるべきです。
※事故現場で、すぐに示談することだけは、絶対にしないで下さい。その段階では、適正な賠償額も、いわゆる過失割合も分からないはずです。また、自分の責任を軽くするために警察への届け出をしないように持ち掛ける人もいますが、保険金の支払いが受けられなくなる可能性もありますので、絶対に拒否して下さい。
賠償請求できるのは誰からか?
【傷害の場合】
もちろん、被害者本人が請求できます。
【被害者が死亡した場合】
相続人が請求できます。相続人になるのは、被害者の配偶者及び、以下の人です。第1に被害者の子供・孫などの直系卑属です。第2に被害者の父母・祖父母などの直系尊属です。第3に兄弟姉妹又はその子です(第1順位の者が相続放棄すれば、第2順位の者が相続人となりますが、更に第2順位の者まで相続放棄すれば、第3順位の者が相続人になるということです)。
また、配偶者・子・父母は、相続人という資格においてではなく、自分自身の慰謝料、いわば遺族固有の慰謝料を請求できます。
賠償請求できる相手方は誰か?
- まず、加害者に対して請求できます。
- また、加害者が従業員として業務上運転していたのであれば、その雇主も使用者として賠償責任を負います(使用者責任)。
- 更に、加害者が未成年者であった場合、その親が監督者責任等を負うことがあります。
どんな損害項目に対して賠償金が支払われるのか?
【傷害による損害】
- 治療費(初診料、投薬料、手術料、処置料、入院料等)
- 看護料(入院中の看護料、自宅看護料・・・医師が必要と認めた場合に限る)
- 諸雑費(入院中の諸雑費)
- 通院交通費(通院に要した交通費)
- 義肢等の費用(義肢、義眼、補聴器、松葉杖等)
- 診断書等の費用(診断書、診療報酬明細書等の発行手数料)
- 文書料(交通事故証明書、住民票、印鑑証明書の発行手数料)
- 休業損害(事故による傷害のために発生した収入の減少)
- 入通院慰謝料(精神的・肉体的苦痛に対する賠償)
【後遺障害による損害・・・後遺障害が残った場合にのみ発生します】
- 後遺症逸失利益(身体に障害を残し労働能力が低下したために将来発生するであろう収入減を補填するもの)
- 後遺症慰謝料(身体に障害を残ったことに対する慰謝料)
【死亡による損害】
- 葬儀費(通夜、祭壇、火葬、埋葬、墓石などに要する費用)
- 死亡逸失利益(被害者が死亡しなければ将来得ることができたと考えられる収入額から被害者本人の生活費を控除したもの)
- 死亡慰謝料(被害者本人の慰謝料、遺族〔被害者の配偶者、子供及び父母〕固有の慰謝料)
【物的損害】
- 自動車の修理代(但し、時価より修理代が高い場合には、時価額の金銭賠償)
- 代車料(=修理するのに必要な期間相当分のレンタカー代)
手続きの流れ
主たる解決手続きとしては、以下の示談、調停、訴訟があります。交通事故では、現在、示談・調停の場合、弁護士に委任しない被害者の方が多いようですが、その場合でも、加害者(保険会社)から示談案・調停案が示された場合、その内容の当否を弁護士に相談するというのがベターです。また、調停も不成立になった場合には、裁判の提起のため、弁護士に委任することをお勧めします。
また、死亡事故や重い後遺症が残る事案については、示談・調停の段階から、弁護士に委任することをお勧めします(そうした案件では、弁護士が介入するかどうかで、賠償額が違ってくることがあります)。
示談
当事者間の話し合い
事故発生 示談交渉
(この際、交通事故証明書、診断書、診療報酬明細書、修理代の領収書等が重要になります)示談成立(示談書作成) 示談不成立 損害賠償金の支払い(解決) 裁判手続き(調停、訴訟)に移行
調停
裁判所で、裁判官と調停委員2名で構成される調停委員会が仲介して、 当事者双方が譲り合いながら合意に基づく解決を図る制度
裁判所に調停を申し立てる。 (加害者からでも被害者からでも申立可能) 調停期日の実施
(第1回調停期日は、申し立て後1か月程度後の日時が指定されます。
調停期日の実施回数は事情によって違いますが、3回程度です)調停成立(調停調書作成) 調停不成立 損害賠償金の支払い(解決) 裁判手続きに移行。
訴訟
裁判所で、当事者がお互いの主張を述べ、それを裏付ける証拠を提出した上で、裁判所による判断(裁判)により、紛争を解決する制度
裁判所に訴訟を提起する。 (加害者からでも被害者からでも提起可能) 裁判期日の実施 判決 判決確定 損害賠償金の支払い(解決)